【読了】安楽死を遂げるまで/宮下洋一
- 作者: 宮下洋一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/12/13
- メディア: 単行本
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とある二次創作を読んでいたら、難病にかかった主人公がスイスで恋人に抱きしめられながら安楽死するエンドだったので「エーッ!?」と思って、この本を読み始めた。
現在、日本人が合法的に安楽死できるのはスイスのみ。
スイスでの安楽死は「自殺幇助」の形態で、届出をした団体に所属する医師が見守る中、コップに入った致死薬を自ら飲むか、強い致死薬が入った点滴のストッパーを自ら外すか、という方法で行われる。
前者は三十分ほどで、後者は数十秒で死に至る。
もちろん、医師の診断書が必要だったり、いくつかの条件があったり、金額も高かったりと、手軽にできるようにはなっていない。
ただ、できる。条件さえ満たせば、できる。
筆者は実際にスイスでの自殺幇助の瞬間に立ち会って取材を行う。
耐え難い痛みがあったり、回復の見込みがなく死を待つだけだったり、そういう人が出てくるんだけど、ままならない身体を最期にコントロールしたいという気持ちは、個人的にはよく分かる。
スイスの自殺幇助だけでなくて、各国の状況や日本での安楽死についても書かれている。安楽死が許されていない国で、終末期の患者が安楽死を希望し、それに周囲が(主に医師が)応えるとどういった結末になるのか、など。
こういう本にこういう言い方をしていいのか分からないけど、知的好奇心はかなり満たされた。